よく聞く『更年期』ってなんだ?
母親が最近涙もろい、イライラしたり、傷つきやすくなった、という方はいないだろうか?あるいは、数年前にそんな時期があったと思い当たる読者も多いかもしれない。
怒りっぽい中高年の女性に、冗談めかして「更年期障害じゃないのォ」なんて心無いことを言う人がいる。更年期障害というと女性ならば誰もが通過するもので、病気じゃないと軽視している人が多いが、症状は深刻な場合も多く、本人としてはとてもつらい時期なのだ。
まず、女性の更年期とは、閉経期前後の10年間ほどで、年齢にすると40代から50代半ばくらいの間をいう。その時期や期間は個人差があり、何の症状も感じずに快適にすごす人もいれば、60代まで引き摺る人もいる。主な症状は、不規則な月経、顔のほてり、のぼせ、動悸、頭痛、肩こり、不眠、頻尿、セックスを疎ましく感じたり性交時に痛む、など。精神的にも過敏になるのが特徴だ。
こうした症状を訴えることを「不安愁訴」といい、更年期に起こるものを「更年期障害」と呼んでいる。これまで更年期障害は女性特有のものと考えられていたが、最近では女性ほどではないが男性にも起きるといわれている。親が前述のような症状を訴えたら、一度専門医にかかることを勧めたほうがいいだろう。更年期障害は卵巣の機能が低下し、女性ホルモンが急激に減少するためにさまざまな症状が起きるのだが、その場合はホルモン剤の治療をほどこせば改善される。だが、ここで知っておきたいのは、ホルモンとは関係なく心因性のものがある、ということだ。
更年期は、これまでの自分の人生を思い返したり、老後について考え始める時期でもある。また、子どもが自立する頃とも重なり、おのずと夫婦2人だけの生活などについても考えざるを得ない。こうした心境のところへ、更年期障害が起きるといっそう不安感や焦燥感、無気力感に襲われ、更年期を過ぎても依然、そうした不安定な精神状態が続くケースもめずらしくないからだ。
「体調はすぐれないし夜眠れない。暗い部屋でこれまでのこととか老後のこととかボンヤリ考えているととても不安だった。今もその不安感は拭えていない」(美容師60歳)、「更年期を機にいろいろ考えました。ひどいときにはベランダから身を乗り出してしまいましてね。死のうと思ったこともある」(絵本作家・60歳)という人もいる。
こうしたときに必要なのは、「私だけじゃないんだと思うと気が楽になった」「更年期だからしょうがないだろ、なんて言われるとつらかった」とあるように、同じ状況にある人との会話や、夫や子どもの理解と思いやりだ。周囲から見るととりとめのない話かもしれないが、その話をまずは聞く姿勢を母親に示すことが一番の特効薬。また、スポーツクラブに通ったり趣味を持ったりすることで、できるだけ内にこもらないように母親自身が心掛けることも必要だといえる。
「あの頃のオフクロがそんなに大変だったなんて。知らずにひどいことしてたなあ」と思った人は、今からでも親孝行しておこう。